役員の任期を延長したい
例えば、「うちの会社の役員は当分替えたくないんだけど・・・・」という場合。
旧商法では、
「取締役の任期は2年」と定められ(旧商法第256条第1項)、
例外として、
「定款に規定することによって、任期中の最終の決算期に関する定時株主総会の終結の時まで任
期を伸張することができる」とされていました(同条第2項)。
また、監査役の任期は、
「就任後4年愛の最終の決算期に関する定時総会終結の時までとする」と定められていました
(同第273条第1項)。
【会社法における取締役の任期】
会社法においても、取締役の任期が原則2年であることについては変更ありません。
(会社法第332条第1項)
ただし、
「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時ま
でとする」
とされましたので、旧商法で例外的に認められていた例外規定が原則化したといえます。
【会社法における監査役の任期】
監査役についても、
「選任後4年以内の終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結のとき
までとする」
とされました(同第336条第1項)ので、変更はありません。
例外として、取締役・監査役とも、
@株式の譲渡制限を設けている「非公開会社」に限って、
A定款に規定することにより
B任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結
の時まで」伸張することができる
と定められました(同322条第2項、第336条第2項)。
(取締役については、逆に、定款または株主総会の決議によって、原則である「2年」よりも
短い任期を設定することも可能です(同第332条第1項但書))。
会社役員相互間に相当の信頼関係があり、今後も長期に渡って同じ役員構成を維持していきたい
と考える会社では、役員の就任期間をこれまでよりかなり長く設定することが可能になりました。
ただし、任期中の役員を会社の都合によって解任せざるを得なくなった場合には、その役員から
残存する役員就任期間に関して損害賠償を請求されるケースも想定されますので、充分注意が必要
です。
また、自社の取締役や監査役が、就任(または前回重任)してから既に10年を経過しているケ
ースが散見されます。同じ方が継続して役員に留まる場合であっても、重任を決議する必要があり
ます。
会社法の趣旨に沿った役員任期の設定・維持を行うために、ぜひ専門家をご活用下さい。