決算公告について
旧商法の時も、株式会社は会社の決算についての公告を行う義務がありました。
(商法旧第283条第4項)
株式公開会社や大規模な企業は決算公告を行っていましたが、多くの中小企業で決算公告を行っていない状況が続いていました。
会社法の下でも会社の決算公告は、株式会社である以上は「義務」として規定されています。(会社法第440条)。現時点では、旧商法時代と同様、公告義務を懈怠していても、当局からのペナルティは課せられていないのが現状です。
しかし、会社法第976条第2項では「公告を怠り又は不正の公告をした場合には、行政罰として「100万円以下の過料に処す」と定められており、また、それが原因で第三者に損害を与えた場合には会社役員が民事的に損害を賠償しなければならないケースも想定されます。
※ 公告義務違反の状態が蔓延いるため、この点につき、当局が本腰を入れて法令厳守の施策を
実施すれば、結果として国が「過料の徴収」により潤うことにもなるため、いつ行政罰の執行が
発動されても不思議ではない状況にあるという見方もあります
現在、多くの会社が、定款で自社の公告の方法を「官報で行う」と定めています。にもかかわらず、「決算の公告が義務である」ことすら知らない事業主様もいらっしゃれば、認識していても「官報による決算公告は数万円の費用がかかる」「手間がかかる」「やり方がわからない」「他の会社もやっていない」などの理由で手続を行なっていない企業も大変多いのが現状です。
会社法では、第440条第1項〜第3項の規定により、自社の公告方法が「官報による」と定めている会社でも、決算公告は「電磁的記録の公開(=インターネットへの掲示)」を行うことができると定められました。
インターネットへの掲示であれば、自社のホームページ等アドレスを指定することによって、そのURLにて決算書類の内容を公開すれば足り、費用も官報のように毎年多額の金額を要求されることもなく、非常に経済的で、かつ、実施しやすい手段であると言えます。
この方法を採用する場合には、次の点が必要です。
・決算内容を公開するURLを決める
・公開にあたっては決算書の内容について万人が閲覧可能になることを承知する
・インターネットで公開することを定款で定める
・公開するURLを取締役会で決議する
・インターネット公開について、登記に反映させる
登記を申請する際には、登録免許税3万円が必要です(URLを変更するとその都度3万円かかりますので、変更の予定がないURLを採用する必要があります)が、登記についてのほかの事項の変更とともに申請すれば、3万円を納付しなくてもいい(別の項目ですでに納付する予定があるから)ケースもありますので、他の変更登記の際に設定するのがよろしいかと考えられます。
登記上は、登記簿謄本(履歴事項(または現在事項)全部証明書)の最後部に、「その他の事項」という欄が設けられ、
「貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項」
http://www.kaisya.co.jp/kessan/html
「原因年月日」平成○年○月○日設定
のような記載で登記簿に載ります。