株券の不発行について
旧商法では会社が発行する株式につき、株券の発行に関して次のように定められていました。
<原則>株式の譲渡制限規定を定款に定めているか否かで異なる
譲渡制限を設置している会社 → 株主からの発券請求がない限り、株券発行義務なし
(旧商法第226条第1項但書)
譲渡制限を設置していない会社 → 株券の発行義務あり
(旧商法第226条第1項)
<例外>定款に株券を発行しない旨の定めを置く場合 → 株券の不発行を認める
(旧商法第227条第1項)
【会社法】(第214条)
<原則>株券を発行しないことが原則となり、旧商法と原則例外が逆転した
<例外>定款に株券を発行する旨の定めがある場合に、株券を発行できることとした
【既存の株式会社は会社法施行によりどうなったか】
会社法施行時に現存する「株式会社」は、「定款に株券を発行しない旨の定めがない」も
のとみなされ、原則「株券発行会社」とみなされ(整備法第76条第4項)、会社法施行
日に「株券発行会社である」旨の登記がされたものとみなされます(整備法第113条第
4項)。
【登記簿の記載と現実の違いを回避するためには】
「会社は株券なんて発行していないのに・・・・登記簿には株券発行会社を書かれている」
現実の状況に対して心配されている事業主様も多いことでしょう。
実際、株主に相続が起きる場合にトラブルとなることも予想されますし、将来会社が上場
を考えているようなケースでは、当然コンプライアンスの問題も発生するでしょう。
株券を発行しないのなら「しない」と、発行するのなら「する」と、会社法の施行を機会
にきちんと対処しておいたほうが得策です。
多くの会社はこれまで「株券不発行」の状態だったはずです。正式な手続を踏まえて「株
券不発行」会社として存続するためには、役員会、株主総会の決議や公告手続を経る必要
があります。
しおた事務所では、これらの手続の準備、議事録等の書面の整備等の面で、貴社のお手伝
いをさせていただきます。是非ご相談ください。